文芸作品 「掌に眠る舞台」小川洋子 小川洋子の魅力はまずモチーフ選びにあるし、豊かなそれを例えば実写化するよりも素敵に仕上がる文章で書きあげる所で、ああ、いい小説家だなあと思う。 どう足掻いても実写の映像では作り上げられない魅惑的な世界がそこにはあって、そしてそれは読者の眼か... 2024.02.14 文芸作品現代国内
文芸作品 「丸の内魔法少女ミラクリーナ」村田沙耶香 小説を読んでいると、こういうことがある。 「コンビニ人間」であれだけの完成度とテーマ性を誇った作者の作品の中でも、ひときわ目を引いた本作を図書館の本棚で見つけた時は嬉しくてすぐに手を取った、そのあとで「コンビニ人間」を先に読んで、なんて素晴... 2024.02.11 文芸作品現代国内
文芸作品 「コンビニ人間」村田沙耶香 主人公は36歳、独身、女性、コンビニでアルバイトをしている、その歴18年。 「推し、燃ゆ」「星の子」に続いて発達障害気味の主人公がまた一人。読書再開後手に取った5冊中3冊に出てくるとは現代の小説の主人公は発達障害が流行りなのかしら、と思って... 2024.02.09 文芸作品現代国内
文芸作品 「星の子」今村夏子 十年越しの作家、とも言えるかもしれない。今村夏子という名前を私が知ったのは2011年の「こちらあみ子」の書評か何かだったと思う。そしてそのまま私は読書の存在しない長い空白に入ったので、本作が初対面ということになるが、なるほど噂の今村夏子はこ... 2024.02.03 文芸作品現代国内
文芸作品 「かがみの孤城」辻村深月 辻村深月は作品性に優れるのに小説家としてはどうなのかという意味でその資質は判断に迷う。本作も刈り込める部分は多分にあって、魅力的な発想力に対し創作的な完成度が不足している。では辻村深月の豊かな作家性とはどこにあるのか。 2024.02.02 文芸作品現代国内
現代国内 「推し、燃ゆ」宇佐見りん 現代の芥川賞作家の価値とは? あまりにも拙い文章が続いて、これは外れか、と落胆した。それが 長いこと切っていない足の指にかさついた疲労がひっかかる。外から聞こえるキャッチボールの音がかすかに耳を打つ。音が聞こえるたびに意識が1.5センチ... 2024.01.30 現代国内
現代国内 「たゆたえども沈まず」原田マハ 彼女が描き上げたかった芸術家の一生とは? 本作は誰もが知るところの画家、フィンセント・ファン・ゴッホがその生を閉じるまでの芸術家としての足掻きと苦悩、それを金銭的・経済的にも支える弟の筋を主軸に、脇に浮世絵を西洋に持ち込み広げることに成功し... 2024.01.27 現代国内