G-40MCWJEVZR 文芸 - おひさまの図書館

文芸

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てっとり早く何者かになれる恋愛・結婚・出産に閉じ込められてきた女たちの現代的姦しさと黄昏、男性の許しを必要としない新しい命『夏物語』川上未映子③

正直、本作は草稿レベルだけど、このように自分が書くべき物語を持つ作家は強い。 芥川賞機企画として進めていく中で、弱者男性と資産運用やカルト集団等の羽田圭介を挟んで、また川上未映子に戻ってきました。受賞作、恋愛小説、代表作、と進んできて興味を...
世界文学旅行

啓示としての文学が成立する確率、ディストピア文学を貫く古典名著『一九八四年』ジョージ・オーウェル

ディストピア文学といえばこの作品。 シリーズ2回目として、古典の代表格を読みました。 プロット的には陳腐、結構つまらない展開を見せるし、途中のロマンスも彩でしかないとは思うのだが、キーワードから見る本作のモチーフやテーマ性は明確、「全体主義...
現代国内

配当生活とカルト、いつだって自分で決められる時代に、人は何の信者になるのか?『Phantom』羽田圭介②

面白かった!! 最初は、資産形成や年間配当を増やして自分の分身を作る、という主人公設定をメインに興味を引いたが、中盤以降の展開はその主人公=彼女から見た恋人の傾倒するオンラインコミュニティ・現代的なカルト集団の様相や、「資本主義(労働より金...
現代国内

弱者男性文学の総本山=芥川賞が現代で機能しなくなったわけ『スクラップ・アンド・ビルド』『バックミラー』羽田圭介

私は以前から、海外作品であれば男性作者を、国内作品であれば女性作者を読みたがる不思議を自分に感じていたが、今回はそれが腑に落ちた気がするし、純文学的な狭さと世界文学的な広さの違いになぜ私が心惹かれ、私の主題や求める文学性がどこにあるのか、と...
文芸

国内外での受容のされ方、社会的関心と時代性テーマ、カテゴライズのジレンマ『黄色い家』川上未映子②

平成から始まった芥川賞の潮流とも思える女性作家の流れを汲みつつ、海外活躍までさりげなく果たしていることが分かった川上未映子。 最新長編の『黄色い家』話題にもなりましたから題名をご存じの方も多いのではないでしょうか、こちらも新聞連載、くしくも...
文芸

文体と虚構性の異才と古典性入門『乳と卵』『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子①

2020年の宇佐見りんを2003年受賞の綿矢りさ・金原ひとみの系譜で思ったけれど、その間にあったのが2007年の川上未映子で、受賞時は31歳で年齢的な話題にはならなかったが美人で見栄えが良かったし、デビュー作がちょっと変わっていたから印象的...
世界文学旅行

現代韓国というディストピア『サハマンション』チョ・ナムジュから始めるディストピア文学シリーズ

以前、韓国ジェンダー・アンソロジーで表題作かつ一番面白かった目玉作家として『82年生まれ、キム・ジヨン』という作品でベストセラーになったらしいチョ・ナムジュを初めて知った。 2024年ノーベル文学賞を韓国のハン・ガンが『菜食主義者』が獲り、...