G-40MCWJEVZR 【映画】キッチンカーで全米横断「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」85点 - あらすじ・つまらない?ネタバレ
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【映画】キッチンカーで全米横断「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」85点

映画ピックアップ

 期待せずに見始めたが、美味しそうなホットサンドと明るいラテンのノリが最高。
 非常に明るく夏らしい、家族で楽しめる元気が出るサンドイッチ映画。
 有名レストランのシェフであることを人生のメインテーマにしていた半生が離婚の原因だったと推測される家庭の再生と、経験や部下との関係が活きる人生の後半戦の解放と再出発が描かれている本作は、古典的なプロット展開を現代的な要素やラテンカルチャーやアメリカ各地の魅力で彩って、魅力的なファミリー・ムービーでありながら、開放感のあるトリップ・ムービーにもなっている。

 ロサンゼルスにある一流レストランの料理長カール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)は、新進気鋭で挑戦的な料理を作ってきたが、ポピュラーなメニューを求めるオーナーのリヴァ(ダスティン・ホフマン)と衝突。人気料理評論ブロガーに面白みのない停滞した料理への姿勢を酷評され、SNSで拡散される。彼に個人的に送ったつもりの口汚いメッセージを、キャスパーは全世界に公開し、また炎上。再戦を望みツイートするが、一連の流れを受けてオーナーに調理場を追い出される。ブロガーは挑戦を受けて立って来店するも、同じ料理を出されたため再度酷評ツイートをするので、頭にきたキャスパーは乗り込んで罵倒し、その動画も拡散されてしまうし、職場を解雇され、新しい雇用先も見つからない。

 元家族とは険悪ではなく、息子との面会も順調ではあるが現状の折り合いは良くはなかったが、レストランを退職したキャスパーは元妻イネスに勧められてキッチンカーでの再出発を決断。レストランでの昇進の話を蹴ってキャスパーの所に駆けつける元部下マー(ティンジョ・レグイザモ)と、夏休みの息子パーシーと三人で、移動販売を行いながらロサンゼルスへの道のりをキューバンサンドイッチ等を売り続けて進む道のりは軽快で爽快。
 本業にしてきた一流レストランでキャスパーは上品なコース料理を作っているが、そこを飛び出してからの日常には、実に美味しそうで手軽なサンドイッチがいくつも登場する。元妻との新婚時代の思い出が詰まったキューバサンドがキッチンカーの契機になるのも魅力的だが、まず息子に作るチーズトーストが美味しそうで、ジャンクでこだわり抜いた昼食を息子に振舞うパパとシェフのこだわりに満ちた良いシーン。口々に言いながら皆が詳しく教えてくれないTwitter(現x)について詳しくないキャスパーが「やり方を教えてくれるか?」と息子に頼む場面がまず良い。

「たまにしか会えないから、楽しいことをした方がいいと思って」
「一緒に住んでいた時みたいにただ話す方がいい。なんで帰ってこないの?なんで別々?」
 繊細な親子の機微やこの破綻した家庭と、修復を望む息子の気持ち等が圧縮した良い場面だ。 
「今ちょっとパパ忙しいんだよ」
「うん、わかってる、また、じゃあ」
 炎上してる動画を観ている子供に対しての隠し立ての場面は笑いを誘う。
「なんで厨房に入っちゃだめなの?」
「暑いしうるさいし汚い言葉が飛び交ってるからだよ」
「汚い言葉ならネットで見慣れてるよ」
「10歳児が観るサイトに汚い言葉があるのか?」
「YouTube」
「あれってそうなのか?」
 現代のSNS性を広がりに据えている本作。職人気質で仕事ばかり夢中でして中年にさしかかるキャスパーはそうしたことに無知ゆえに息子に教えてもらったり、その活用による息子の活躍が明るさと現代性を広げてくれる。

「人が必死に作ったものに罵詈雑言!傷つくんだよ、傷つくだろ俺もスタッフも!オーナーはレストランが潰れるか心配した、くそやろう!お前はデタラメを書き散らしてるだけだ!」(意訳)
 有名ブロガーに対するキャスパーの言葉には悲痛なものがあり、口コミやレビュー、消費者側の拡散が強いSNS環境における公式や創作側の素直な吐露にも思える。作り手がいかに全力で敬意をこめて作ったとしても、貶されるときは貶されるし、批評に誠意がない時や表面にそれが分かりづらい場合もある。
 ネットの炎上騒ぎの問題の一つには、こうした双方の無理解や愛のない言葉、そして無関係や野次馬の群がりと拡散が存在していて、非常に現代的なモチーフを軽やかに描いていく手際も軽やか。この有名ブロガーとの顛末は出来過ぎではあるが、まだネットやレビューが人と人との関りであり、消費の一過ではないことへの感覚がテーマになっている。その繋がりへの信頼が、元妻と、息子と、元部下と、彼を笑った人たちと、多くと主人公を繋ぐものへの信頼にも似通る。けれども本作はそうしたテーマもあっさり軽やかにプロット昇華していく。

 元妻の紹介でキッチンカーを手に入れる際には、自分より先に彼女と結婚と離婚を済ましているいけ好かない経営者に頭を下げる屈辱と、そうして手に入れたキッチンカーはボロボロでそのままでは使い物にならず、きれいに掃除し、新たに生まれ変えるための作業は大変だし骨が折れる。息子と二人でキッチンカーをきれいにしていると希望の来客があり、キャスパーは驚く。
「言っただろ、ボスの次の仕事が決まったら助手をやるって」
「スーシェフに昇格したんだろ?」
「だから?トラックのスーシェフだ」
「雇うけど、無給だぞ」
「上等だ、そんなことでビビるかよ」
 レストランでの昇進を蹴ってまで、キャスパーとの軽口の約束を真に受けて駆けつける元部下のマーティンが良くて、彼の明るさと軽妙さが連れてくるラテンのノリが本作の魅力の肝だ。太陽の明るさと陽射しの強さ、元気な海辺や活気にあふれた市況を、三人は商売道具で寝泊まりの場所でもある大事なキッチントラックで真っすぐ走り抜けていく。

 本作は一流レストランを解雇されたシェフがキッチンカーで再出発する、というスタンダードな物語に、家族の再生と息子に魅せる働く姿、適応し活用すべき現代的SNSの炎上騒動や、あらゆる批評に対する創作側の思い等、様々なテーマを絡ませながらも、アメリカの旅路をSNS戦略の画像や動画で映すことで創作的にも多くの効果を生み、調理やドライブ場面にノリの良いラテンミュージックが流れ、明るい気分と人生への新しい意欲に満ちた、暗い所のほとんどない元気な楽しい映画になっている。
 主人公の元恋人でソムリエにスカーレット・ヨハンソン、元妻の元夫でキッチンカーを譲ってくれる経営者にロバート・ダウニー・Jrと、謎に豪華なキャスティングは、主演・監督のジョン・ファバローが「アイアンマン」の監督とのことで、その友情出演だそうで、このおいしそうな映画の主役をしっかり張っている大きな体の力強いシェフが本作の監督だというのだから、これは物凄く良いチームプレーだったと言える。
 題名は微妙だが、それ以外に文句は全くない。美味しそうで明るく楽しく元気が出る映画。

 同じチーズトースト映画としては以下。どちらも甲乙つけがたいおいしそう。

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