微妙。
ハーレイとジョーカーの場面は良い意味で軽薄なメロドラマがあり、ハーレイ誕生秘話や二人の経緯の説明部分を含めた映像作りは本作の中で唯一の密度もあって魅力的にみられるし、白塗りになる前、薬品の中に飛び降りる眼鏡姿のクインゼル博士の魅力と、あんな色気知的美人が最高のビッチになるわけだからギャップが凄いし、中盤「カモン,ベイビー」から「OK,ハニー」までのヘリの中でのロマンチシズムも虚構的な華と魅力がある。
逆に言えば本作にはそれくらいしか見どころがない。
スーパーヴィランといといというのはどういうことなんだろう、小物ばかりだった気がする。
スーパーマンの死から数ヶ月後、米国政府の高官は新たなるメタヒューマンへの対抗策として、死刑や終身刑として服役する凶悪犯罪者に対し、減刑と引き換えに参加させる特殊部隊「スーサイド・スクワッド」の結成の為に奔走する。同じ刑務所内に収監されている長距離スナイパーのデッド・ショット(ウィル・スミス)、元精神科医でゴッサム・シティの犯罪王ジョーカー(ジャレット・レト)の共犯者で恋人のハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)、そのほか、全身刺青の呪われたこじらせ炎男、ぬいぐるみとブーメランが大好きな男、フードかぶりがちなTVマニアのワニ、などがメンバーに選ばれ、フラッグ大佐の指揮下に置かれてリスクの高いミッションに使い捨てとして利用される。
スーサイド・スクワッドとは「自殺に等しい無謀な作戦に送り込まれる部隊」という意味と、切り捨てて平気な使い捨ての存在で「死んでくれて構わない部隊」という意味があるようで、人としての扱いではないし、逃げたり歯向かわないようにメンバーの首に爆弾を仕掛けてあり、拒否権とかは無い。指揮官の大佐はイケメンで、敵チームのボスと恋仲なので苦悩していて、彼が死んだらチームの敗北、メンバーは生きていても爆破、任務を達したら刑期が何年か短縮、という天国と地獄が設定されている。人権とは、恋心とは、米国とは…
まさかこんなスターが出ているの?とウィル・スミスに驚くのだが、至って予定調和なウィル・スミス。娘ちゃんが大好きで、仕事の理解が得られず(暗殺者だからね)妻に離婚を言い渡され、内心娘にどう思われているか不安、というテンプレ的な苦悩にテンプレ的な配役。いくらなんでも少しは意外性を出してくれるかと観ていたが、びっくりするくらい何も起こらず。遠距離スナイパーの才能も全然生きておらず、近距離でも強いのかあ、へえ!という感じ。安定感過ぎる役者が中心にいるので、軽薄かつ幼稚でトリッキーなハーレイが生きている側面はある。つまりハーレイ一強、この作品でハーレイの人気が出たわけではなく、人気キャラだったハーレイを売り出すための本作、という印象に変わった。
謎の能力や謎の世界征服的な野望展開や東洋系の暗殺者だったり、能力者の戦いとかご都合的なアクションが続く。こういう虚構性の魅力は少年ジャンプで卒業してしまったので、無駄な時間だと感じてしまったけど、魅力に感じる層もいるはいるからアメコミやアニメの需要があるわけで、しかし本作はそれに必要なキャラクターの魅力や人物造形の作り込みがあるわけではない。
炎の能力者は罪の意識に苛まれ、ワニみたいなマスコットも別に可愛くも格好良くもないし、ウィル・スミスでさえその知名度以上の魅力は放っていないので、他の個人的には誰かもわからない仲間たちの魅力も全くわからず。アクションシーンを見せるという意味では「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」のがあったと思う、本作は基本的に銃撃戦に重きを置いていて趣向は異なるし、最終的には能力バトルになって、凶悪な犯罪集団とかでも立ち向かえなくなってインフレする。
ハーレイとジョーカーの絡みや、二人の誕生秘話は面白かったし、映像も良かったが、本作の全編的な作品性や密度はお世辞にも良いとは言えない。大体がテンプレとご都合主義で、良くないアメリカ的な要素なのかなと思う。
当初のイメージは数人のヴィランの中でハーレイが目立ったのかと思ったが、合間に挟まれる救い的な魅力としてハーレイが機能していたくらいで、ハーレイとジョーカーのロマンスありきの本作の企画性に少し微妙な気持ちになる。
「クイーンへの侮辱は死を招く」
序盤、そのハーレイの説明の部分ではスピンオフとは緊張感が違う。
最高のビッチ、という言葉がこんなにも目立つキャッチ―な女性がいるかしら、という姿を堂々と演じ切る序盤のシーンのマーゴット・ロビーは本当に魅力的だし、ラストシーンの彼女の優雅さも素敵だった。
ジョーカーに関しても何人もの役者が演じていて、それぞれの味や解釈があるのだろうということが判明。本作のジョーカーは、声は良いしロマンスに徹していていいけれど、悪のカリスマ的には軽薄さが漂い、なんか若いなという感じ。ビジュアル的な魅力もないかも。個人的にはハーレイの彼氏、という感じで圧倒的な存在感とかは感じなかったけど、配役や登場尺的に仕方ないのかな?とも思う。演じたのはジャレッド・レト。キャメロン・ディアス、アシュリー・オルセン、スカーレット・ヨハンソンと交際歴があり、リンジー・ローハンとの噂もあったというから豪華すぎてびっくりしたけど、個人的に今作では刺さらず。
ジョーカーってほとんど仮装だしね。それで役者が印象を出すって難しいし、同じ白塗りで強烈な印象と美を与えるマーゴット・ロビーが異常。ホアキン・フェニックスもよかったが、あれは白塗り前後併せてだものな。
ハーレイタイトルの明るさや軽さに対し、本筋では、変えられてしまった彼女の暗さや悲しさの強さ、そのドラマや運命があるし、そしてもちろん犯罪者、その重さや硬さがある故にその美しさや軽薄さに重みが加わり、非常に魅力的で色気がある。
「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」が犯罪性や凶悪性が低かったのも深いテーマで追えなかったのも、主人公タイトルを明るく魅力的にするためであり、深く考えないようにするしか彼女に明るい幸せはもうない、変えられてしまったから、そして十分に犯してしまっているから。
何も考えない明るさ、本質や自分自身の過去との向き合いなんて、もう無理だし、今後を明るく楽しく生きるっきゃない!的な吹っ切れだったんだなと、「スーサイド・スクワッド」を見てからだと思える。
ジョーカーのそれのようにそちら側の本気の虚構性も観てみたいけど、その場合は配役は替えられてしまうんだろうなあ。
「背負いなさいよ。ノーマルな暮らしなんて悪人には無理」
ノーマルな人生とノーマルな生活、ノーマルな幸せは、自分にはもう遠いことを彼女も彼も自覚している、帳消しには出来ない過去を背負った彼らは、仮に世界を救っても減刑されてもやり直しは出来ない。家族も傷つけたし、被害者もいる。過去は誰にも変えられない、よくあるアメリカ的な主題であり、アメリカ的な罪悪感だ。
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