G-40MCWJEVZR リーマンショックの裏にあったドラマや金融市場のビッグテーマ『マネー・ショート 華麗なる逆転』The Big Short Explained: Themes, True Story, and Financial Crisis Analysis - おひさまの図書館
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【映画】リーマンショックの裏にあったドラマや金融市場のビッグテーマ『マネー・ショート 華麗なる逆転』The Big Short Explained: Themes, True Story, and Financial Crisis Analysis/80点

映画ピックアップ

「The Big Short」(2015)

<English Summary>
 This article analyzes The Big Short (2015), focusing on its depiction of the 2008 financial crisis and the ethical contradictions of modern finance. It also works as The Big Short explained, offering a clear account of what happened in the real story behind the crisis, including how the system collapsed and why it was possible. By examining the film as a narrative that bridges cinema and world literature, the article explores how complex economic systems are translated into accessible storytelling, and how The Big Short ending reflects the unresolved structural problems of modern capitalism. Drawing on elements of experimental fiction and avant-garde narrative techniques, the film reveals both the strengths and limitations of representing reality through cinematic form.

 本記事では『マネー・ショート』(2015)を分析し、2008年の金融危機の描写と現代金融の倫理的矛盾に焦点を当てる。また本稿は、金融危機の実際に何が起きたのかを明確に説明する解説としての役割も持ち、システムがどのように崩壊し、なぜそれが可能だったのかを示す。さらに本作を映画と世界文学を架橋する物語として捉え、複雑な経済システムがどのように理解可能なストーリーへと翻訳されるのかを考察する。そして作品の結末が、現代資本主義における未解決の構造的問題をどのように示しているのかを読み解く。実験的フィクションや前衛的語りの要素を踏まえつつ、本作は現実を映像化することの可能性と限界の両方を明らかにしている。

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 リーマン・ショックは2008年9月のアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけとする世界的金融危機のことですが、発端は2007年末頃からの米国内の住宅バブル崩壊と言われています。そんな時代の渦中で、崩壊の可能性にいち早く気づいて、大金を手にした男たちを描いたノンフィクション小説「世紀の空売り 世界経済の破綻にかけた男たち」の映画化。

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リーマンショックとはそもそも?

 リーマンを含む投資銀行は、複数の住宅ローンを組み合わせた金融商品を売買しており、その中には低所得者層向けの高利の住宅ローン”サブプライム・ローン”が含まれていた。それまで高額なローンを組めなかった人を対象に、好景気で上昇した地価と住宅価値を担保に契約し、資産価値が下がった瞬間に不良債権化する高リスクなローン。右肩上がりの景気は永遠に続くという幻想のもと、投資銀行や格付け会社はリスクを承知で金融所品をずさんな評価管理や認識で乱発。住宅景気が停滞し、一気に不良債権化したサブプライムローンがローン会社の資金繰りを圧迫する事態に発展。
 ローン会社の破綻はウォール街の資金繰りまでを圧迫、アメリカの金融界全体の破綻を引き起こし、それが世界的な経済危機へと繋がった。

映画『マネー・ショート 華麗なる逆転』

 2004年から2006年にかけて、アメリカ合衆国では住宅価格が上昇し、住宅ローンの債権が高利回りの金融商品として脚光を浴びていた。多くの投資家達がそうした金融商品を買い漁り、投資銀行や格付け会社も躍起になって参加している中で、2005年、ニューヨーク、金融トレーダーのマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)は、住宅ローンを含む金融商品が債務不履行に陥る危険性を銀行家や政府に訴えるが、まったく相手にされない。
 そして2008年、住宅ローンの崩壊に端を発する市場崩壊の兆候が表れる。

 実在の出来事を虚構創作しているので、本作の登場人物にはモデルになる人物がいる。その上で考えると個性が際立つ人物像と、それを的確に魅力的かつ現実的に着地させた好演をする俳優陣は必見だし、恐らく物凄く豪華な面々。
 作中最初に住宅ローン破綻を見抜いて空売りに賭けるマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)は元神経科医の金融トレーダーで、ヘヴィメタ好きで常に大音量で垂れ流す中で仕事に励む様子や、ホワイトボードにあれこれ書いたり、同僚や部下と思われる者たちにも理解及ばない規格外な人間に描かれていて、Tシャツ・短パン・裸足のラフな服装などもその人物像に一役買っている。
 フロントポイント・パートナーズのチームリーダーのマーク・バウム(スティーヴ・カレル)が私は今作の中一番好きで、賢明や神経質、苦悩、過去の失敗や過ち、現状に対する真摯や自他に対する厳しさなど、多くの人間性を感じさせる描写が魅力的。
 本作は基本的にマイケル・バーリが象徴する破綻の可能性に気づく慧眼と、マーク・バウムが象徴する止められない破綻に賭ける人間の苦悩や絶望が描かれる。つまり、陰の側面を背負うマークのテーマ性は見ごたえがあるし、ああいう人間は金融の世界だと苦しいのだろうな、と思わせるところにも本作の意義がある。

 ドイツの銀行員で、空売り商品を売る立場として登場するジャレド・ベネット(ライアン・ゴズリング)は、ラ・ラ・ランドの主人公を務めていたが、今回も細身の均整の取れた身体をスーツに包んでおり、スタイリッシュな外面をしているが中身のホットさを隠しきれない全編での情感は必見。
 金融の世界の深さを知る者ではあるが、現在は引退しているトレーダーという謎な役どころのベン・リカートをブラッド・ピットが演じた。モデルもいるそうなので仕方がないが、メインの四人の中では一番微妙で、虚構創作における伸びしろを一番感じる人物であるし、ブラピだったのでもう少し何かあるかと思ったが微妙なままだったのでなんだかもったいなかった。
 豪華俳優陣を据えるのに加え、マーゴット・ロビーやセレーナ・ゴメスなどが実名で登場し、各所でセレブのキャッチ―さを使って経済や金融に詳しくない人間にも説明してくれるツアーガイドの役割を果たしてくれたり、配慮を感じる。

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世紀の金融モチーフの大衆映画化の意義と思惑

 近代の金融の歴史の中でも最大のトピックを体感させるほどに作り上げられた趣向があるかと言われると若干微妙ではあるものの、そうした歴史的な破綻を事前に見抜き、空売りして破綻を待つ、その間の絶望や、破綻に賭ける自身の志向性や莫大な金額、そんな状態を作り上げた金融世界への疑念や憤慨、宙ぶらりんで不安定な精神状態、その時が来れば簡単に転覆して大混乱に陥る市場や人類の経済活動、様々への個々交々の感情や入り乱れ煮詰まる情感の一旦は感じられて、そこは素晴らしい。
 自分の勝ちに賭けることが、誰かの負けや国や世界の経済破綻に賭けること。仕組み、状況、モラルへの唾棄すべき感情や無神経、という人間性のやるせなさを描く反対側には、勿論時代のうねり、一般社会、目にえない金融世界、入り乱れと波状は捉えられないが確実に存在していて、下落や崩壊はどれ程の規模になるのかも不明で、それは構築して繁栄し生活している人類が基盤であるはずなのに、その思考や把握や認識の露呈は明確や認識し得ないほど巨大であり、一般人から有識者までの程度の差を含めて暮らしており、しかし莫大な金銭と生活は間違いなく繋がれていることの怖さを感じた。
 でもだからこそ、持つ者も持たざる者も、考える者も考えない者も、等しく与えられ感じやすい虚構創作が、そうした主題を共有させる一端の為にも存在する価値を感じる。

 そして、そうした人間感情と経済局面の現実としてのドラマだけでも魅力的な作品性を持つのに、それを活かすほどには作り切れてはいないのは、大衆への配慮や説明的な要素が本質的なドラマ性のスポイルに繋がっているから。料理の仕方としての入門編や導入の要素と、深入り奥深く堪能させる意味の創作性とが相反しているため、虚構的な完成度や魅力は弱い。どちらに徹して作るのかという面なので仕方がないが、マーク・バウム側の苦悩を映す側のが個人的には意義と魅力を感じるが、マイケル・バーリ側を使ったダイナミックなエンタメ性も導入や初心者説明との両立は可能であったはずだし、両得をしようとしたがゆえに共倒れになり、本作の志向性がどっちつかずの散漫に思える。それはベン・リカートの浮遊感にも象徴されるように思う。
 大々的に作り上げるべき作品だからこそ金融初心者への導入を添えたが、その”説明”で虚構創作としての技術の不足が魅力の不足に繋がった、悲しい意欲作だ。本作は確実にもっと面白くなった、それだけの歴史的なモチーフであり、強烈なテーマ性がある、のにその創作でミスがあった。原作の小説が気になるところではあるが、マーク・バウムとマイケル・バーリの配役はそのままにもう一度撮り直してほしい、つまり製作上としての失敗は明らかに感じる、非常にもったいない。

 プロデューサーはブラッドピット、アカデミー賞では作品賞、監督賞、助演男優賞、脚本賞、編集賞の5部門にノミネートされ、見事に脚本賞を受賞。
 サブプライムローンの矛盾や危険を察知し、リーマンショックで逆に設けた投資家乗り切った彼らではあるが、自分たちは賭けに勝ったが、その反対には、家を失い、職を失い、負債を背負った一般の消費者たちが確実に存在していて、元凶となった銀行や投資期間は国の補助を受け、逮捕者は一名だけ。

 原題『The Big Short』のショートは空売りのこと。
 原題のシンプルさは味がある言い切りで良いのに、なにやらごちゃごちゃした副題までついていて邦題ダサいな。
 空売りとは株が下がる方向で儲けることに賭けるということ。
 成長に賭ける投資ではなく、投資銀行への不信や暴露の為の問題突き付けの為のショート。崩壊を望んではいないけれども、そうなる予見の元に銀行に突き付ける意味での投資、告発の為の投資、そして儲けるというよりは混乱に巻き込まれず勝ち抜く為の投資。
 これは完全に重い。そしてそれが露見しても、銀行筋は罪に問われず、破綻はしたが責任はとれず、そんなことをしでかしておいて、騙された消費者と混乱に貶められた経済を被った人たちがいて、自分たちは不正を言い当て、富を得たけれど……という話。
 つまりこれは、顛末を大々的に報じるためのレクイエムとも言える。
 決して華々しく稼いだ爽快なヒーローの物語とは言えない。
 その意味で対照的に思い出すのが、マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオの『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)だが、あれは単独で見たときも軽薄だし、ありがちな成功と破綻に感じたが、あちらは1987年のブラックマンマンデー前後を舞台にしていて、少し時代はずれているが、同じ金融の世界を描いているにも拘らず、やはり物凄く気質の違う作品で、金融という世界の奥行や虚構創作におけるバラエティを感じることが出来る。
 小説で言えば金融を佐藤亜紀が扱った『金の仔牛』は18世紀のミシシッピ事件を扱った見事な虚構創作であり金融おとぎ話。

金融小説の読み方と魅力、まずはお金を数えましょう『金の仔牛』佐藤亜紀
人類と文学の祈りが切り離せないように、人類と金融経済も切り離せない。その交わるところにある作品こそ、個人的な主題になってもおかしくはないのか、とふと気づいた本作の読書観。 フルタイム労働の間にsnsデビューした私の長らくの主戦場は金融投資を...
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見えない金融の脈に縛られた私たちの現実

 それにしても嫌でも思い知るのが、今回、2024年8月における日経平均や米国株式市場を含めた経済的な混乱や株価や為替の下落について、株式投資をかじる知り合いと日常生活における温度差。経済や金融への興味のあるなしや危機感の有無の温度差。
 投資を始めることについての是非は各種あるのだろうが、自分の職業や生活の範囲外への興味や認識が広がることは確実に言えて、暴落や恩恵等の実質だけで語る現実はとても狭い。
 公的な機関が売買する金融商品やローン商品への疑念や危機感の目なども持たない人もたくさんいる、そしてそんな大多数によって形成される世界の脆弱性についても考えさせられるし、自分もそちら側であるからこそ情報取集や勉強の必要性とその危機感について思えた。
 虚構創作と現実世界の関連性のなさ、資産形成と文芸/ドラマ/映画などの虚構創作のレビューという相反するような要素に興味を持ち、扱う自身の感覚についても、虚構創作が捉えづらい現実や、難解な現実を魅力的に作り変えて再現性で魅せる時の価値について等、初めて、資産形成をしている私と、虚構創作に興味がある私が交わった価値を感じるレビューになったのではないか。と同時に、そうした金融や政治などの人類活動の現実と、交わることはないけれど常に副次的に存在し全てを許容し抱擁し発展し展望しやすくなる虚構創作の価値と可能性について、改めて考える。そして私はその不出来を許せない、上出来に感動したい。虚構創作は技術で成果だ。

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 リーマンショック関連の有名な本といえばこちらでしょうか。検索したら有名な「ウォール街のランダム・ウォーカー」が出てきました。未読ですが言及あるんでしょうね。
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