G-40MCWJEVZR 【批評】下品の栄華「ウルフ・オブ・ウォールストリート」65点 - あらすじ・つまらない?
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【映画】下品の栄華「ウルフ・オブ・ウォールストリート」65点

【映画倉庫】

(2013)

 投資銀行・LFロス・チャイルドに入社したばかりのリッチを夢見る主人公に、気軽なランチで「コカインと女は必需品だ。客(の利益)は関係ない、家族の為にどれだけ稼げるかだ」と吹く上司。
 株式仲介人の資格を取った船出をブラックマンデーに襲われ、会社は倒産。
「貯金ゼロから年収49億円
 ヤバすぎる人生へ、ようこそ」
 主演レオナルド・ディカプリオの華と熱演、
 米国の成金ってこういう豪遊の仕方するよね、を地で行く主人公は実在の人物。

 失業した彼は生活の為の仕事を選ぼうとするが、妻が彼の資格を活かせる求人を見つけてくる。そこでのはったり的セールストークによる開花と成果により破格の営業成績を叩き出し、年収は高騰、将来の友で№2のドニーに出会い、独立開業を果たす。
 初期メンバーはかき集めた麻薬の売人たちで、彼らに「このペンを売るにはどうする?」とビジネスの基本を語る。顧客も部下も騙して乗せてその気にさせる、その人生と口上の熱さと勢いとバイタリティが彼の人生そのものであったように思う。

 成功し始めたジョーダンは女と薬にまみれて乱交。本作はR指定だが、その上限スレスレかアウトではないのかというレベルのお下劣模様、まき散らされる札束と酒と麻薬に施れながら部下と共に乱痴気騒ぎする様は全編に渡る。
 彼のはったりや口上の勢いは客に高額な決断をさせ、部下は数字を叩き出し、会社はどんどん成長、手口や金額は高登りし、それらも犯罪スレスレか、完全にアウトだったりするので、FBIなどにも目を付けられる。アウトにまみれたこれを三時間も見せてしまうのはやはり主役の華と監督の手腕だと思うし、中弛みはなく、圧倒されたり笑えたりしながら観られる。

 当局に目をつけられているので財産をスイス銀行に移すために二人目の妻・ナオミの伯母の口座を借りていたが、叔母が亡くなり、相続の手続きの為にスイスに向かわないといけなくなる。ロンドンで葬儀に出たいという妻に対し「俺だって君の伯母さんを世界で一番愛してた。でも、もう死んだんだよ。死んだ人はどこへも行かない、あとで駆けつけてもちゃんと死んでいてくれる」という謎の慰めで笑わせてくれるし、
 出国禁止故にクルーザーでイタリア経由で向かう計画にしけの予報だからと操縦士に止められるが「大丈夫だよね船長?皿が割れるくらいの被害?なんだもう楽勝じゃないか、よし楽しい時間を過ごそう!気負い入れていくぞう!!」の次のコマでは圧巻の嵐に巻き込まれているスピード感はさすがだし、「俺は優秀なダイバーだ、潜りの達人だ、絶対誰も死なせない、俺がついてる、俺を信じろ」というパロディまで織り込んで笑いを誘う。

 もう一つの見せ場、
 極限の夜のどうしようもなさと友情が、後にプールサイドでノンアルビールを飲みながら再度開く時、そこにあるどうしようもなさと友情はいたく静かに感傷的で、友人の上等なスーツがひどく頼もしく感じた。俺が買ってやったスーツだ、とも聞こえてくる気もするが。

 多くの人を欺いて振り回した彼の逮捕に成功したFBI捜査官は、薄暗い地下鉄に乗って代わり映えのない日常を送り続けるが、刑務所内でも買収してテニスに興じるジョーダンが映され、出所後もかつての成功者として講演を行うジョーダンは得意げに「このペンを売ってみろ」と極意を伝授している。
 鮮やかな答えを誰も言えないでいる聴衆者たちは騙す側の知性では暮らしておらず、最終カットは彼らの奥にもおびただしいアホ面の観衆がいる。
 彼が成り上がったビジネスは人を乗せて欺く求心力だったが、それに引き付けられる対象は群れを成す羊であったこともわかる。そして犯罪と逮捕、しかし真面目な捜査官の送る日常は魅力で幸せなのか。彼自身はどう感じているのか、そして彼は?あなたは?

 成功後の華々しさはテンプレ的で、実話とはいえ虚構的な魅力としてはその部分が残念だったかなとは思う。成果は犯罪だったが、ビジネスをやるうえで上司部下と顧客の獲得の仕方が全てで、人を騙すほどに引きつける口上や勢いや熱量というのは個人的に魅力的だった。
 セールストークで成り上がり犯罪者に成り下がった彼の人生が、どんな魅力で他者を蠱惑するのか、世界やある人が彼にどんな夢を見たのか?その強さが本作の成功如何そのものに違いない。
 製作費1億ドル、興行収入は米国で1.1憶ドル、世界で3.9億ドル。

prime Video2作目、面白かったです。

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