G-40MCWJEVZR 【映画】ジョニー・デップの打率、映画製作のふしぎな事件『チョコレート工場の秘密』>>>>>>>『チャーリーとチョコレート工場』と『ネバーランド』/Why Tim Burton’s Charlie and the Chocolate Factory (2005) Fails Compared to the 1971 Classic: Johnny Depp Couldn’t Save It - おひさまの図書館 つまらない・原作
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【映画】ジョニー・デップの打率、映画製作のふしぎな事件『チョコレート工場の秘密』>>>>>>>『チャーリーとチョコレート工場』と『ネバーランド』/Why Tim Burton’s Charlie and the Chocolate Factory (2005) Fails Compared to the 1971 Classic: Johnny Depp Couldn’t Save It

【映画倉庫】


なぜティム・バートン版『チャーリーとチョコレート工場』(2005)は1971年版に敗北したのか
ジョニー・デップでも救えなかった映画

<English summary>
This article compares Finding Neverland (2004), Tim Burton’s Charlie and the Chocolate Factory (2005), and the original Willy Wonka & the Chocolate Factory (1971), exploring how fantasy, childhood, capitalism, and emotional sincerity are portrayed differently across these films.
 The author argues that despite its massive budget, advanced visual effects, and the casting of Johnny Depp, the 2005 adaptation fails to capture the emotional clarity and thematic strength of the 1971 classic. While the older film presents a sharp yet charming story about poverty, morality, capitalism, and childhood desire, Burton’s version becomes trapped in psychological backstory and eccentric visual spectacle without creating a compelling emotional core.
 The article also connects Finding Neverland to these themes through Freddie Highmore, who starred in both films. Finding Neverland is described as a melancholic and visually beautiful British drama about escapism, imagination, and the emotional refuge of storytelling. However, the author remains skeptical toward the romanticization of “dreaming men” who avoid reality and responsibility.
 Particular praise is given to the 1971 Willy Wonka for its simplicity, strong thematic focus, memorable performances, and enduring sense of cinematic wonder. In contrast, the 2005 film is criticized for weakening both Charlie and Wonka as characters, resulting in a fantasy film that feels visually extravagant but emotionally hollow.
 Ultimately, the article reflects on a broader creative question: why some older films with limited technology and smaller budgets continue to feel more alive, coherent, and magical than modern blockbusters built on enormous resources and celebrity casting.

 本記事は、『ネバーランド』(2004)、ティム・バートン版『チャーリーとチョコレート工場』(2005)、そして1971年版『チョコレート工場の秘密』を比較しながら、それぞれの作品が「幻想/子供時代/資本主義/感情的誠実さ」をどのように描いているかを論じている。
 筆者は、2005年版が莫大な製作費、最先端の映像技術、そしてジョニー・デップの起用にもかかわらず、1971年版が持っていた感情的な明快さやテーマ性の強さを獲得できていないと主張する。旧作は貧困、道徳、資本主義、子供の欲望を鋭くも愛らしく描いていたのに対し、2005年版は心理描写や奇抜なビジュアルに偏り、物語の核となる感情的魅力を失っているという。
 また本記事は、両作品に出演したフレディ・ハイモアを通じて『ネバーランド』とも接続する。『ネバーランド』は、現実逃避・想像力・物語の癒やしを描く、美しくも物悲しい英国映画として評価されている一方で、「現実や責任から逃避する夢見がちな中年男性」というテーマには筆者は距離を置いている。
 特に1971年版『チョコレート工場の秘密』については、そのシンプルさ、強固なテーマ性、印象的な演技、そして映画的魔法の持続力が高く評価されている。一方、2005年版はチャーリーもウォンカも人物像が弱体化しており、映像は豪華でも感情的には空虚なファンタジー作品になってしまったと批判される。
 最終的に本記事は、「なぜ限られた技術と予算しかなかった過去の映画のほうが、現代の超大作よりも生き生きとして魅力的に感じられるのか」という、創作と商業に関する大きな問いへと接続していく。

『チャーリーとチョコレート工場』(2005)はお金と技術をかけてジョニー・デップを使っても、こんなにもつまらない映画が作れるものなんだ、ということを教えてくれた驚きの映画だったが、1971年版の『チョコレート工場の秘密』を今回見観て、どのジャンルで1971年度の出来に2005年が平気で負けられるのかと、改めて凄まじい思いがした。大人の仕事や商業、創作について考えさせられるものがある。
 今回の履修の発端はジョニー・デップとチャーリー役のフレディ・ハイモアの出会いとなった「ネバーランド」(2004)。

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夢見がちな中年紳士はジョニデでも結構きつい
『ネバーランド』(2004)70点

 劇作家のジェームス・バリは新作が初日を迎えた舞台の評判が悪く、翌日の新聞でも酷評されて、ロンドンで一番の悲しみと孤独を迎えてしまう。慰めにもならない妻と二人暮らしの家から飛び出し、愛犬の散歩に出かけた先の公園で、四人の息子を抱える未亡人のシルヴィアと出会う。ジェームズは一家と仲良くなり、子供たちに様々な遊びを教えながら打ち解けるが、三男のピーターは亡き父のことで胸をふさいだまま夢や希望を否定しがちで、それらを口にするジェームズに対して他の兄弟のようには親しんではくれなかった。彼に対して空想の重要性や物語を書くことを教えていくうちに、ジェームズはある戯曲の着想を思いつく。ジェームズは夏の間じゅう一家を自分の別荘に招待して遊んですごしながら、ピーター・パンの原型となる作品を完成させるが、シルヴィアの病気が悪化し、二人の関係を怪しんでいた妻・メアリーから別れを切り出される。

 本作はまず、有名な『ピーター・パン』の原作者である劇作家の自伝的要素とその制作秘を、イギリス映画らしい田園風景や緑でいっぱいの公園の美しさ、主演女優たる四兄弟の母親・シルヴィア役のケイト・ウィンスレットのあまりにも美しく儚い未亡人ぶりでいっぱいになる映画となっているし、英国紳士に扮したジョニー・デップが家庭を顧みずに空想と遊びに呆けて未亡人家族と親しくした結果に劇作家としての大成功を収める映画だし、着想と原動力のきっかけとなる三男ピーター役を務めたフレディ・ハイモアを、次の自身の出演映画『チャーリーとチョコレート工場』の主演子役に誘うまでのエピソードを秘めている。
 イギリス映画らしい静かで丁寧な作りになっていて、感情は抑え気味、退屈さは美しさと表裏一体なのかなと思ってしまうほどひたすら美しさや物悲しさを作り上げている中に、夢を見る中年紳士の遊び心がぽかんと浮かび、中盤以降の見せ場の感動はある。有名作品の虚構性と放つテーマの制作秘話にこうした感動の物語が潜んでいるというのは結構出来過ぎている気もする。
 駄作と酷評された劇作家を癒した一家との交流は、現実的な生活を忘れさせてくれる心地が、ある意味で作家にとっての純粋なネバーランドだった。一作の失敗で地に落ちた気分の自分を、有名な劇作家として歓迎してくれ、男の子の知能で遊び惚けることが出来る。ある意味では未亡人を助けるカタルシスがなかったとも言えない。しかし家庭や現実に戻れば、地に落ちたままの名声と、妊娠出産を執拗に求めて自分だけを見てほしそうな重い女が妻として待ち構えているし、そうした現状生活に向き合うのが今は嫌な男にとっての逃避行の場所は必要だった。
 そのあたりはテンプレ的な現実と虚構の世界の扱い方ではあるし、現実的な女と夢見がちな男のありがちなすれ違いと逃避行はギャップ的に描けていて、本質的にはピーター・パンはそのような物語であるし、ロンドンの虚構性などの魅力と、少年心の融合のような作品性の創出になるので、仕方がないテーマ性かなとは思う。
 個人的にピーターパンの虚構性は好きで、大きな大きな時計塔、映る影、ベッドが並んだ子供部屋から飛び出す、海賊と腹の中の時計、ティンカー・ベルと夢にまつわる「妖精なんて信じない、と子供が言うたびにどこかで妖精が死んじゃうんだ」の一言も可愛らしい。

 ピーターパンは好きだが、大人になり切れない男は嫌いだし、現実を見ないことも好きではないし、なかなか難しい虚構テーマに感じる。物語や記述の効能については間違いないことだし、親が死のうが夢がかなわなかろうが酷評されようが生きていかなくてはいけないのだし、現実はそうして続くし、何より妻は家で一人苦しんでいる。
 兄弟の中で一人、ピーターという少年だけが父親の死から回復できずに心を閉ざしており、主人公と打ち解けてくれない。さらに異なる追い打ちをかけられた彼が、あれほど簡単に心を寄せてくれるのかは微妙だし、その変化を丁寧に描けていたとは個人的には思わなかったので、テーマ消化としても個人的に成功しているとは思わないが、そうした子供心で生きている劇作家と、幼くして親の死を経験して現実に打ちのめされている少年との邂逅と、それにより生まれた虚構創作の秘話となっている。
 そのピーターの繊細さを演じた子役が、本作での出会いを通じてジョニー・デップに『チャーリーとチョコレート工場』に誘われる。

残ったのは莫大な製作費と知名度だけ
『チャーリーとチョコレート工場』(2005)30点

 「チョコレートの包みに5枚の金色のチケットを同封した、引き当てた子供は工場を見学する権利が与えられ、そのうちの一人だけに更なる素晴らしい賞品がある」というウォンカからの通知により世界中が大騒ぎ。なにしろ世界規模で大人気のチョコレート、ウォンカの製作工場の中は、かつて従業員に紛れ込んだ敵会社のスパイにお菓子の秘密を探られたことで人間不信に陥った経営者・ウォンカの秘密主義徹底により、誰が働いてどのようにお菓子が作られているのか、謎に満ちていた。
 世界で人気のチョコレート、その中に黄金のチケットを忍ばせた、黄金のチケットは完全秘密の工場への招待状となる、世界中でたった5人だけの幸運は誰の手に渡るのか、という序盤は物凄く虚構性に溢れていて、絵本チックな街中の世界観も、原色が多く使われた工場内のカラフルさも、公開当初の告知映像でも散々流れて、これは物凄くアトラクション的なエンタメ映画なのだろうと楽しみにしていた子供にとって、本作が期待通りの面白い作品だった気は私はしなかった。

 ジョニー・デップ扮するウオンカの人物像に魅力がないし、つまりそのように感じさせる人物の形成ドラマ時代に魅力がないことも原因だし、それがテーマやラストシーンに関わるので、そのあたりが弱いため主役が立っておらず、全体ドラマの主体性が魅力的に描けていないので、これはもう楽しいはずがなかった。それに加えて子供たちの謎の悲惨な目に合う感じも、大人目線のブラック・ユーモアになっているのかも謎だし、純粋なピーターのチケット獲得よりも自分が働いていたかつての栄光の工場にもう一度行きたいと願ってたがわないおじいちゃんもなんだか下品だし、予告が一番面白かった気がする。
 魅力的な虚構性は原作や旧作ありきとしたら、リバイバルとしての点数では0点。

「チョコレート工場の秘密」(1971年)85点

 『ネバーランド』や『ピーターパン』が四兄弟だったのに対し、本作は四人の老人と同居する極貧の少年を主人公にしており、キャベツも浮いているかわからない貧乏なスープを飲まされている彼が、大人気のウオンカのチョコレートを食べられるのは一年に一度、誕生日だけ、という悲惨な子供時代を過ごしている。
 このあたりの設定はは原作小説と相違が無く作られていて、忠実。
 持つ者と持たざる者、子供のそれを決めるのは完全に親、それらの資本主義、というひしひしとした現実を突きつける1971年度版に対し、2005年度版に目立っていたのはどちらかというと産業スパイから人間不信になった経営者の苦悩からの、信頼出来る、保護対象としてのウンパルンパや鞭で叩かれる乳牛や、ピンクの羊毛を丸刈りにされる羊などで、異なる階級や差別意識との戦いにも見えるそれらと人間社会性を描けもしたと思うが中途半端。

 五枚の黄金チケットをめぐる大騒ぎは、相変わらず素晴らしい虚構性。
 そしてそのチョコレートやチケットに胸を躍らせる本作の主人公であるピーターを演じる子役の輝きすらも、実は1971年度版のほうが優れており、それは明るい表情や2005年度版の色彩豊かなキャッチーな作品性の中ではフレディ・ハイモアは繊細過ぎて、ロンドンの灰色がかった顔色の悪さなどが目立ち、逆に1971年度版では古めかしい画面作りの中でも生き生きとした子役の明るい演技や演技が目立っていたこともあるが、主人公が立体化させる主人公らしいテーマ性が後者の方が明らかに優れていたことにも起因する。
 2005年度版の主人公はほとんど主人公らしい輝きの役割も与えられておらず、個性豊かなそのほか4人の子供たちキャラ立ちに押されていて、特に何の言動もしていないが、悪さをしなかった消去法で最終候補まで残ったに過ぎず、富より家族を選ぶその様も特に何の感慨も呼び起こさない。

 2005年度版ではジョニー・デップを起用しているだけあって、彼の映画になっている側面があるために、世界的大人気のチョコレート工場の支配人であるウオンカがなぜそんな奇天烈な人物となってしまったのかの紐解きに歯医者の父親との幼少期からのトラウマが所々で語られるが、そこに魅力がなく、逆に1971年度版のウオンカは彼の背景は一切語られず、探していた子供を思わず抱きしめる時の喜び以外に本心を見せたところはなく、逆に本筋としてのテーマ性とそれにより選ばれるに至ったピーターの主人公性に注力されているので、全体のまとまりが良い。子供が見る映画としても正しいし、大人としても腑に落ちる良い形で表現されている。
 明確な資本主義と極貧から脱出できるチャンスがあっても、ダメなことをしても謝れば許してあげる、けど反省もせずに復讐心や下心を持つ子は許さない、そのテーマがはっきりしていて、1971年度版はその後の子供たちを描かないことにも意味を持たせている上手さがあるが、2005年度版は消えていった子供たちがどうなったかもよくわからない作りに納得の度合いが桁違いだし、テーマの表現性がまずもって比較にならない。

 同じ原作を持つ作品を30年近く経過してから復刻するなら、トレースしても同じレベルのものを作っても意味がないし、現代性に富んだ作品性で更なる脚本でもって完成させるべきとハードルが上がるものと思うが、2005年度版はせっかくのスターをキャスティングして映像技術や製作資金すら莫大に使って、何がしたかったのか果てしなく謎なつくりをしている。
 テーマは意味不明、ブラックな面白みも弱い、肝心かなめであるスターの人物造形すら魅力は皆無、原作や旧作の魅力的な人物造形を崩して全く魅力のない人物をスター俳優に演じさせる目的とはいったい何だったのか。家族や親愛を皮肉るパターンを反転させたかったのだろうとは思うし、人間不信になった中年おじさんのこじれ方からの転機とも思うし、それに関連して人種や労働性についてスポットを当てることも出来たがそれもされておらず、微妙過ぎて何とも言えない、家族愛も描けていない、謎過ぎる。
 映像技術とジョニー・デップにお金をかけられたが、そうした現代のすばらしさの粋を使っても、作り上げられた作品性は過去の作品の方が上というのはなんとも皮肉だろう。映像技術がいかに伸びても、スター俳優を使いセット美術に凝ろうとも、それだけで面白い映画になるわけではないというのがわかる意味では素晴らしい事件。

 1971年度版『チョコレート工場の秘密』お勧めです、50年以上前の作品とは思えない、純粋な面白さと可愛らしさ、映画の楽しさが詰まった作品。アマプラには2005年度版しかないのが残念。
 ちなみに後に続編?となるイケメン工場長の映画?『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』も見ました。うーん、今度はイケメンと続編詐欺??

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