(2004)
生活する場所ではない所に人情味の強い男を閉じ込めて、人々が働き暮らすその営みの場所を人間ドラマの舞台にしてしまう。虚構創作の基本が最高水準に整い、その中核を担うのはやはりトム・ハンクス演じる主人公の魅力。もうこのポスターの一枚絵が良い。
東欧のクラコウジア出身のビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)が搭乗した数時間の間に祖国でクーデターが起こり、パスポートが利用不可になったので、帰国も入国も適わなくなり、ニューヨークのJFK国際空港内で生活することになった。
クラコウジアは架空の国だが、実際に足止めされたモデルの男性がいるらしく、彼は難民パスポートの紛失によるものだったらしい。本作は祖国のクーデターに関しての情報も片言の英単語の知識でニュースを拾い集めたり、最初は意思疎通も難しいさまをコミカルに描き、そんな一風変わった彼が空港内でちょっとした英雄扱いされるようになるエピソードにも多言語圏による混乱と恐怖と奇跡があったりもする。
昇進の為に穏便に空港を管理したい国境警備局主任ディクソン(スタンリー・トゥッチ)は、ビクターを穏便に亡命させようとしたり、ドアに導いて不法入国者にして向こう側の責任にしようとしたり、言葉にすれば重い行動な気がするが実際には少しの情報提供により背中を押して監視カメラで観察する程度なので、可愛らしく微笑ましかったりする。
本作のスリルは別にあり、他言語によるコミュニケーションや、文化や風習もわからない外国の、しかも空港ターミナルでの生活を余儀なくされ、そこで生存していかなくてはならなくなった彼の不運だろう。最初はお金もない、稼ぎ方も持たない、住所も電話番号も持たず、証明書の類も利用不可になっており、簡単には雇って貰えなもしないし、不定が多すぎる身で誠実な男性は本命女性へのアプローチにも苦労する、文明現代における彼の浮遊感、不安感は凄い。そんな状態でも彼は真っすぐ真面目に進み続け、周囲に受け入れられていく半年間を描く。
前半の滑り出し、この世界設定の披露と展開は面白いし、主人公をはじめとした人物造形と、空港内の多様な登場人物たち、敵や友人の滑り出しは素晴らしく、お金の得方とハンバーガー、寝床の確保、髭剃りと身だしなみやスーツ、協力者のディナー、等の獲得ややり方は見ていて楽しい。
明確なヒロインであるキャビンアテンダントのキャサリン・ゼタ=ジョーンズが画面を明るく、ロマンス要素を連れてきてくれるけれど、宙ぶらりんで終わるのでそこは不満が残るか。
人間臭い空港内での友人たち、徐々に関係を築いた関係を踏まえての中盤の出来事は胸を打つし、そのすれ違いに胸が詰まる。けれどここはターミナル。多くの人が働き、暮らし、多くの時間や出来事を共有空間にて、すれ違いへの助言をくれる人もいれば、手助けしてくれる人も出てきたりして、この人間ドラマはさすがだなと思う。監督はスティーヴン・スピルバーグ。
「キャスト・アウェイ」(2000)で無人島に4年間閉じ込められたシステムエンジニアを演じたときのトム・ハンクスは、ただのバレーボールを愛いっぱいの相棒にしてしまったし、今回は可愛らしい缶を抱えながらも、半年の間人に励まされ続け、そこで育んだ人間模様で涙を誘うドラマを作り上げた。
そんな主人公が大事にしていたナッツの缶の秘密と、なぜ彼はニューヨークへ来たのか?
前半はそのほかの魅力的な要素が強いのでその缶の印象も弱いし、彼がなぜ来たのかの疑問も鑑賞側としてはそれほど大きな謎に映らない為、その秘密が明かされる場面はただの略歴や人間性の紹介としてのロマンスの一環に思えてしまい、やっと出られたニューヨークの街の感慨も、目的地での奇跡感も弱く感じてしまう。
魅力的な舞台と主人公は文句無し、抜群の設定からの伸び、ヒロインとストーリーが欲しかった。けれど10代で観た好きな映画で、珍しく再視聴しました。
懐かしい作品を気軽に見返せるのも満足度😊
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